大判例

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東京高等裁判所 昭和35年(う)824号 判決

被告人 村松秀夫

〔抄 録〕

しかしながら、職権をもつて按ずるに、本件犯罪は昭和三十五年二月二十九日原審第一回公判期日において簡易公判手続により審理され、次いで同年三月七日その第二回公判期日において事実審理が終結され、被告人から即決判決言渡しの要請があつたので、原裁判所もこれに応じ即日判決の言渡しをなしたものであることが記録上明らかにされているところ、かくの如き審理経過においては、判決の成立は右事実審理終結後でなければならないのはもちろんであるのみならず、判決書の作成もまた右事実審理終結の日である三月七日か、それ以後になさるべき筋合であることは自明であるといわなければならない。しかるに、記録添付の原判決原本についてこれをみるに、その作成年月日の記載として昭和三十五年三月三日と記載されているのであるから、原判決は事実審理が終結しない以前に成立し且つ作成されていたという疑を免れることができず、従つてかかる判決原本に基いて言い渡されたと認められる原判決には、判決に影響を及ぼすことの明らかな訴訟手続の法令違反があるといわざるを得ないから、この点において原判決は破棄を免れないものといわなければならない。或いは、右判決原本の作成年月日の記載は単なる誤記であつて、実際にはそれは事実審理終結後において作成されたものであつたかも知れないが、かゝる事実を明確に立証すべき資料が何ら存在しない本件においては右瑕疵は救済の余地がないものというべきである。

(三宅 東 井波)

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